
コーティング剤ではまだまだ主流の石油系溶剤を使うことで密着力は高められたのでは?
西村そうですね、水性にこだわったこともハードルを高くしましたね。
TRIZは手軽に使えるスプレータイプということもあり、ニオイが少なく幅広いユーザーにご使用いただける、やさしい設計を目指しました。
また、個人的にあの石油系溶剤独特のニオイも、洗車後の快適な使用感からかけ離れている気がして、妥協できなかったんですね。
なるほど、いろいろなハードルをクリアする必要があったというわけですね。ブレイクスルーまでの経緯をお聞かせいただけますか?
西村最初はあらゆる艶出し成分を、配合比率を変えながら数ヶ月単位で片っ端から試していきました。でもどうしてもうまくいかないんですよ。
TRIZとは別の商品の開発もありますから、正直モチベーションを失いそうになった時期もありました。ブレイクスルーのきっかけになったのは、実はテレビゲームなんですよ。
テレビゲームですか?
西村少し昔に流行ったゲームで、カラーボールを3個4個と連鎖させてスコアを競うゲームがありますよね。なんとなく懐かしくなって休日に自宅のPCで遊んでいる時にひらめいたんです。
つまり、今まで塗装表面にドット状に分散して定着させていた艶出し成分同士を繋いでやることで、スキマなく面状に強く密着させることができるのではないかと。
もちろんその繋ぎ手役の成分を作り出すのは大変な作業でしたが、アイデアはまさに正解で、クロスで強く掻き取っても膜厚を減らすことなく、高精度な平滑性を出すことに成功したというわけなんです。
それによって何か他のメリットも生まれましたか?
西村ええ、キズへの浸透性が画期的に高まりました。樹脂成分が従来では埋めきれなかった細かなキズの奥にまで浸透することで、塗装のくすみを解消。艶・光沢感を一段と引き立てることができたんです。
ついに「TRIZ PREMIUM」の誕生というわけですね。
西村いえいえ、個人的にはここからを魔の6ヶ月と呼んでいるんですが、最終段階の詰めに突入していくわけです。